「相続登記」とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産の名義を相続人の名義に変更することです。
2024年4月1日から相続登記の義務化が施行されました。
所有者不明の空き家増加が社会問題化
住宅・土地統計調査によると、2018年の空き家数は849万戸でした。1988年が394万戸だったので、30年間で空き家の数は倍以上に増加したことになります。
空き家が増えている理由は様々です。地方から都市部への人口流出や、少子・超高齢化など社会構造の変化によって、高齢者の単独世帯や夫婦2人世帯が急増するなかで、死去や高齢者施設への入居により居住する人がいなくなった家が空き家となります。
普通は、その家を相続人が引きついで活用するものですが、権利証がないと相続できない、登記することで相続税が発生する、そもそも相続登記があることを知らない、といった様々な誤解が重なって、相続登記がされず長い時間が経過して所有者不明になってしまう場合があります。
こうして所有者不明の空き家・空き地が存国で増加し、周辺の環境悪化や民間取引・公共事業の阻害が生ずるなど、社会問題となっているため、相続登記の義務化がされることとなりました。
相続人間で合意がされない場合は救済措置も
相続登記の義務化の要点は、不動産を相続したことを知った時から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科せられるというところです。
ここでいう「不動産の相続を知ったとき」とは、自己の為に相続の開始があったことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日を指しています。ただし、自分が相続人であることを認識していたとしても、相続財産に不動産があることを知らなければ、相続登記の義務は生じません。
また、相続登記の義務化が行われる2024年4月1日以前に発生した相続にも、遡って適用されるので注意が必要です。
過去に相続している不動産があり、その相続を行っていない場合は、義務化の施工日か、不動産を相続したことを知ったときのいずれか遅い日から起算して3年以内に相続を行う義務を負います。
とはいえ、すぐに相続登記ができないケースもあります。例えば遺言書がなく、遺産分割協議で不動産の取得者を決めなければならない場合です。あるいは相続人の数が多く、ほとんど互いに面識がないような場合は、相続人の間で合意がなされず、3年以内の相続登記ができない場合も考えられます。
この場合「相続人申告登記の申出」という制度があります。この制度は、不動産の登記名義人について相続を開始したことと、自分が相続人であることを法務局に届け出れば、相続登記義務を履行したことになります。
仮に相続人が複数いたとしても単独で申し出ることができ、申し出た相続人のみが相続登記義務を履行したことになります。ただし、この制度はあくまでも「自分は相続人の一人です」と名乗っただけで、この段階では正式に不動産の所有権を取得したことにはなりません。相続人として不動産の所有権を主張できるようにするには、正式な相続登記の手続きを踏む必要があります。
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